2007年 05月 28日 ( 1 )

今そこにある危機

夜も遅く、
静かな船長室の空気を
静かだが確かなノックが切り裂いた。

クロガネーゼ(以下、ク)「誰だ?鍵は開いている。」

エマ(以下、エ)「私です。」

そう言うと、入室を許可するのも待たずに
エマは周りを警戒しながら部屋に滑り込んできた。
酒場で聞いた、『夜這い』という東洋の習慣かと思ったが、
先ほどのエマの返事の口調の変化に気付かないはずがなかった。
なにかあったのだ。

エ「単刀直入に言います。給金がありません。」

いつもなら「船長、いいですか~」のはずのエマの口調が
事態の深刻さを物語っている。
明るいエマが今は口元を引き結んでいる。

エ「会計士たる私の責任です。」

ク「いや、俺の航海計画の変更が悪いのだ。当初、ケープに寄るつもりだったのだからな。」

今やインド洋のど真ん中だ。
銀行などあるはずがない。

エ「・・・。これでは、あの日のように・・・」

ク「・・・。そうなればやむを得まい・・・。」

そう、二人はあの日の夕焼けの中の風景を思い出していた・・・。

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by busk01 | 2007-05-28 01:31