心の港への帰港

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新大陸での数々の危険を伴う冒険の疲れを癒すように
クロガネーゼはリスボン酒場を訪れた…。

クリスティナ(以下、クリス)「へえ、すごいわね! 私も行けたらなあ」

クロガネーゼの話す新大陸の街の話に
身を乗り出すように聞き入っていたクリスティナだったが、
不意に表情を曇らせた・・・。

クロガネーゼ(以下、ク)「どうした?急に浮かない顔をして。」

クリス「ん、なんでもないの。」

ク「らしくないな。俺でよかったら、話を聞くよ。力になれるかどうかわからないけど…」

クリス「実は・・・」

クリスティナはあふれ出す不安に耐えるように
言葉を続けた。
それは先日この酒場で交わされた幽霊船の話だった。

クリス「それから心配で…。特にJulianさんは私があんなことを言ったから、もしかしたらManonさんを追いかけて…。クロガネーゼさんならお二人ともお知り合いだし…。」

ク「・・・で、俺に助けに行け、と?」

クリス「違うわっ!私、クロガネーゼさんまで失いたく…」

クロガネーゼはクリスティナの悲痛な想いを断ち切るように
クリスティナの上気した頬に手を添えると言葉を遮った。

ク「大丈夫。二人とも無事だ。つい最近、直接会ってるし、Julian卿の噂は…、いや、とにかく無事だ。安心していい。」

クリス「よかった…。私、私…」

ク「ほら、涙を拭いて。看板娘が泣いてちゃ、お客さんも困っちゃうよ。マスター!」

他の客のグラスにラム酒を注いでいたマスターは
こちらを見てうなずいた。
マスターがうなずくのを見て、クリスティナの表情が明るくなる。
さっきまでの涙が嘘のように。
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二階にあるクリスティナの部屋は月明かりの射す天窓が特徴的な
小さいが小奇麗な部屋だった。
月光の下にあるベッドはクリスティナにとっては
十分な大きさだったが、今は小さく見える。

クリス「飲む?船長のシェリーほどじゃないけど、とっておきよ。」

ク「ん、ありがとう。少し眠っていたようだな。」

ベッド脇に腰かけたクリスティナもその手に小さなグラスを握っている。

クリス「…明日には発つの?新大陸?」

ク「そうだな。船のみんなが待ってる。」

クリス「そう…。でも、ぜ…」

ク「絶対戻ってくるよ。約束する。」

クリス「クス、もうかなわないわね。」
(julianさん、ケイロンさん、…ごめんなさい。やっぱり私はこの人が…)

ク「どうした?俺の顔に何かついてるか?」

クリス「いいえ、なんでもないわ。ねえ、またさっきみたいに…」

ク「…悪い子だ。」

月明かりが闇からくりぬくように二人を照らしていた。

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安らぎを求めて、船乗りは港に帰ってくる。
だが、旅立ちもまたその港から始まるのだ。
クロガネーゼは少し高くなりはじめた陽の光に迎えられるように
ジョニーの片想い号へと乗り込んだ。

(コーネリアが留守番でよかった・・・)
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by busk01 | 2006-09-10 16:29
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